(C)2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
タイ映画「暁に祈れ」を観ました。
「暁に祈れ」は主人公ビリー・ムーアがタイの刑務所に入り、壮絶な経験をしながらも所内でムエタイに出会ったことでのし上がっていく実話に基づいた映画です。
キャッチコピーは「絶望を超えろ」。
“地獄”と呼ばれた刑務所を拳一つで生き抜いた男の、魂を揺さぶる真実の物語です。
もくじ
映画「暁に祈れ」作品情報

公開(日本):2018年
原題:A Prayer Before Dawn
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
原作 :ビリー・ムーア『A Prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand's Prisons』
出演者: ジョー・コール、ヴィタヤ・パンスリンガム、パンヤ・イムアンパイ、ソムラック・カムシン
製作国 :イギリス・フランス合作
上映時間 :117分
2017年カンヌ国際映画祭 ミッドナイト・スクリーニング部門正式出品作品
公式サイト:映画「暁に祈れ」オフィシャルサイト
映画「暁に祈れ」あらすじ(ネタバレなし)

(C)2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
イギリス人のビリー・ムーアは、闇社会でおこなわれるボクシングの弱小ボクサーとしてタイで暮らしていた。
金もなく、目標も夢も希望もない。孤独で自堕落な毎日。
しだいに麻薬にハマり、稼いだファイトマネーはすべてヘロインとヤーバー(タイのドラッグ)につぎ込むようになる。
ある日、麻薬所持と使用の疑いで警察から家宅捜索を受けたビリーは、逮捕され、刑務所に収監されることに。
言葉も分からず、助けてくれる人はだれ一人いない。
足の踏み場もないほどの囚人たちで溢れかえった床で身を縮めながら眠り、看守たちに家畜のように追い立てられる生活。
そんな中、囚人どうしのいざこざに巻き込まれたビリーは、罰として独房に隔離され、その後別の房に移されることになる。
そこは刑務所内で最も凶悪な囚人たちが集う部屋だった。
レイプ、殺人、なんでもあり。死者が絶えない生き地獄のような場所で、精神が限界に達したビリーは自殺を図るがなんとか一命をとりとめる。
ある時、独房の格子ごしに、ランニングに精を出す男たちの集団を目にする。
彼らは所内に設置されたムエタイチームに所属する囚人選手達だった。
ビリーはムエタイ・チームに所属したいと申し出てチームの一員となり、厳しい練習に打ち込んでいく。
しだいにチームメイトたちとも打ち解け、ムエタイの技だけではなくその精神も学び、精神的にも変わっていくのだった…。
映画「暁に祈れ」感想
すごいものを観てしまった。
誰にもおすすめできない(笑)……でも面白かったです。
観てるのがつらくなるほど重苦しいストーリーなんだけれど、後半には内なるエネルギーが湧き上がってくるような高揚感もありました。
全体を通してBGMや大げさな演出などは極力排しているからこそ、ビリーの感覚を共有しているようなリアルさがありますね。
リアリティを追求する監督のこだわりにより、撮影場所は本物の刑務所で、劇中の囚人たちは本物の元囚人を起用しているそうです。
ビリー以外の囚人役たちには台本を渡していないため、会話の内容もこれまた本物です。
もちろん囚人たちの会話はタイ語です。まったく分からん。その分からなさが怖い……。
囚人たちが体に入れている入れ墨ももちろん本物。
最も凶悪な者が集まる房にいる囚人なんて、全身にくまなく入れ墨がはいっている人がほとんど。
若者が入れるようなワンポイントのおしゃれタトゥーではなくて、ガチでいかつい入れ墨です。
顔や頭まで入れ墨が入っている人もいます。
入れ墨はその人の人生ストーリーを絵や文字で現すものだといいます。
興味のある方はぜひ囚人たちの入れ墨にも注目してみてほしいと思います。
後半は刑務所生活よりもムエタイのファイトシーンが多くなっていきます。
現実でのタイにおけるムエタイは、単にスポーツやギャンブルとしての位置づけではなく“貧困からの脱出”だったり“更正の手段”でもあるのだそうです。
ムエタイのジムで共同生活することで、礼儀作法や生活習慣を身に着ける貧困層の子どもたちもいるそうで、いわば社会福祉の役割も担っているといいます。
試合でファイトマネーを得ることで貧困から抜け出す人もいるわけで、ムエタイは恵まれない子どもたちが一発逆転する一つの手段なわけです。
そんな実際の社会的背景を知ると、この映画をさらに熱中して観られますね。
参考記事→シネマズプラス『暁に祈れ』が良い意味で地獄映画である「3つ」の理由「3:タイのムエタイの立ち位置とは?」より
舞台になった刑務所は今も実在し、使われているらしいです。
絶対に入りたくないですね。
※ここからネタバレ。
映画「暁に祈れ」結末(ネタバレあり)

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ビリーははじめての外国人囚人選手としてムエタイの全国大会に出場することが決定する。
ムエタイをはじめてからムエタイチームがあつまる房に移ったものの、ビリーに恨みを抱きビリーを付け狙う以前いた房の凶悪な囚人たちは、金を回収するため大会で優勝しなかったら殺すと脅してくる。
そんな中、ビリーの体には異変が起き始める。
激しく吐血するようになったのだ。
麻薬の常用と飲酒とムエタイで打撃を受け続けたことが原因だという。
これ以上ムエタイを続けたら死ぬかもしれないという医師の診断を聞くも、全国大会に出場するビリー。
激しい打ち合いの末勝利を勝ち取り、試合終了後大量の血をはいて倒れてしまう。
目覚めた時、そこは病院だった。
つかの間、看護師の目を盗んで病院着のまま病室を抜け出し街を歩きまわる。
つかの間の自由を味わったビリーは、自分の意志で病院に戻る。
傷が癒えたころ、再び収監されるのだった。
(テロップ表示)
ビリーは三年間服役し
イギリスに移送された後2010年に釈放された
自伝「A Prayer Before Dawn」は世界的ベストセラーに
釈放以来ビリーは薬物を断つ努力を続けている
まとめ
タイ映画「暁に祈れ」のあらすじ、感想、結末を紹介しました。
わたしは楽しめましたが人にはおススメはしません!(笑)
15禁ですがそれ以上にした方がいいような気が……。
それほどえぐい。血みどろ。怖い。
普段爽やかなタイの学園ドラマを観ているので、ギャップがすごかったです。
いやぁ奥が深いな、タイ国。
気になった方は観てみてください。
観た方、感想やコメントいただけると嬉しいです(^-^)